クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
3日後の金曜日。
私は約束通り15時にメリディアンホテルに到着した。
修吾さんの職場でもあるため綺麗目なワンピースにヒールのある靴を履いてきた。

普段は本社にいることが多くこのホテルにいることは少ないようだが、ここで開催されるパーティーのため彼はすでに到着しているとのことだった。

私を出迎えにエントランスに来てくれる約束だが、彼の姿は見えない。
周りを見渡すが見つからずにいるとフロントのスタッフが声をかけてくれた。

「お待ち合わせですか?」

「はい」

「では宜しければこちらはどうぞ」

ロビーにある椅子へと私を案内してくれた。
私がお礼をいうと、微笑みながらフロントデスクへ戻って行った。
メッセージを送ろうかと思うが仕事中なら迷惑をかけられないと悩んでしまう。
けれど予約の時間があるかもしれない、とどうしたらいいのか悩み始めた時、肩を叩かれた。

「お待たせ」

「修吾さん!」

彼は少し髪が乱れ急いできてくれたようだった。
私が思わず髪の毛に手を伸ばすと小さな声が聞こえてきた。

ハッと振り返るとフロントスタッフの目がみんなこちらを向いていた。

「ごめんなさい」

私は小さな声で謝った。
すると彼は笑って小さく首を振る。

「いいんだ。結婚したことはすでに広まっているから」

そう言うと私の腰を抱き、エレベーターへと向かう。
みんなの視線が私たちに集まっているのを背中に感じ緊張してしまうが修吾さんは気にしていない様子。
エレベーターの中でふたりきりになると私はもう一度謝った。

「ごめんなさい」

「いや、これでみんなに俺が本当に結婚したとアピールできただろう。お誘いも減るし何よりだ」

「それは……どうでしょう。私では役不足ではないかと。虫除けにはならないかと思います」

私は思ったままに話すと彼は楽しそうに笑う。

「美波は自己評価が低いな。十分に虫除けになるよ」

彼はエレベーターから下りるとまた腰を抱きながら美容室へと入っていった。
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