クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
修吾side
美波に初めて会ったのはメリディアンホテルのゲート入口。
リクルートスーツを来た女性が転んでいるのを見かけ、車から降りた。
転んで両膝から出血をしており、ハンカチを当てていたがとても痛そうで、俺が起こしてあげると涙を浮かべた目をしていた。
バッグの中身が散らばってしまっており、俺は手帳やポーチ、お菓子をかき集め渡してあげる。
リクルートスーツの女性のカバンからこんなにお菓子が出てくるのがなんとも可愛らしく微笑ましかった。
けれど彼女はここに営業に来たのだと話し、バッグの中がお菓子だらけな理由がわかったが、これだけの量を持ち帰るとなると営業はうまくいかなかったのだろう。
彼女に差し出され、俺は断る術もなく受け取った。
1番人気の味です、と言って渡してくれた彼女の泣き笑い顔が頭から離れなかった。
彼女は駅へと歩き出し、俺もホテルの会議の時間が迫っており反対方向へと歩き出そうとした時ボールペンが1本草陰に落ちているのに気がついた。スワロフスキーのついた可愛らしいもので、彼女のものではないかと思い振り返るとまだ遠くに姿が見える。慌てて彼女の背中を追いかけるが、近くまで行くと小さく嗚咽を漏らしているのが聞こえてきて声をかけられなくなってしまった。
「どうしよう……」
小さく聞こえてくる声があまりにか弱く、肩を震わせながら歩くその姿に、守ってあげたいと本能が叫んでいた。
そのまま彼女を抱きしめたくなる感情を堪えるのが精一杯だった。
声をかけられず彼女が駅に着くのを遠くから見送ることしか出来なかった。
ホテルでの会議が終わり、ひと段落したところで俺は彼女からもらったお菓子を鞄から取り出した。よく見ると綺麗なオレンジと茶色の金平糖。
子供の頃以来食べた記憶がないが、彼女に惹かれ俺はパッケージを開け一粒口にした。
俺の思っていた金平糖とは違い濃厚なみかんの香りが鼻から抜ける。疲れた体に程よい甘みが体に染み渡る。
もう一袋の方も開けてみると食べる前から苦味のきいた挽きたてコーヒーの香りがしていた。
興味をそそられ、コーヒー味も口にしてみるがこちらも鼻から香りが抜ける。甘いはずの金平糖からほろ苦さや鼻から抜けるコーヒーの香りに不思議な感覚に陥らせる。
「副社長がお菓子だなんて珍しいですね」
秘書がコーヒーを運んできた。
彼女にも味見してもらうが、今まで食べてきた金平糖と全然違うと驚いていた。そのくらいこの味や食感は特別だった。
これを営業しにきていた彼女にますます興味が湧いた。
ネットで調べてもなかなか検索できず、俺はパッケージの裏に書いてある販売店へと仕事帰りに向かった。
あの時の彼女が販売員として店頭に立っていることに驚いた。営業しにきたと言っていたはずなのに、と思うがネットにも載せていないような小さなお店。手分けして仕事をこなしているのだろう。
小綺麗にしている店舗を見るがなんとなく殺風景な感じが否めない。
客足はあるがみんな固定客なのか彼女と雑談しているようだ。年配の方と話すその姿に彼女の優しさが滲み出ているようだった。
少ないながらもなかなか客足は途切れず俺は入るタイミングを失ったしまった。
けれど彼女の働く姿を見ることが出来、温かい気持ちになれた。
その後もお店へと足を運ぶが、なかなか中に入れない。彼女の働く姿を眺めては帰ってくる日が続いた。
何回行ったことだろう。
ただ、彼女の働く姿を見て癒されていたがさすがに自分でもストーカーみたいだな、と笑えてきた。
客の切れたところでお店に入ると彼女とは別の女性が声をかけてきた。
けれど彼女は俺に気がついてくれ声をかけてくれた。
覚えてくれていたのかと嬉しくなり、話が弾んだ。
リクルートスーツを来た女性が転んでいるのを見かけ、車から降りた。
転んで両膝から出血をしており、ハンカチを当てていたがとても痛そうで、俺が起こしてあげると涙を浮かべた目をしていた。
バッグの中身が散らばってしまっており、俺は手帳やポーチ、お菓子をかき集め渡してあげる。
リクルートスーツの女性のカバンからこんなにお菓子が出てくるのがなんとも可愛らしく微笑ましかった。
けれど彼女はここに営業に来たのだと話し、バッグの中がお菓子だらけな理由がわかったが、これだけの量を持ち帰るとなると営業はうまくいかなかったのだろう。
彼女に差し出され、俺は断る術もなく受け取った。
1番人気の味です、と言って渡してくれた彼女の泣き笑い顔が頭から離れなかった。
彼女は駅へと歩き出し、俺もホテルの会議の時間が迫っており反対方向へと歩き出そうとした時ボールペンが1本草陰に落ちているのに気がついた。スワロフスキーのついた可愛らしいもので、彼女のものではないかと思い振り返るとまだ遠くに姿が見える。慌てて彼女の背中を追いかけるが、近くまで行くと小さく嗚咽を漏らしているのが聞こえてきて声をかけられなくなってしまった。
「どうしよう……」
小さく聞こえてくる声があまりにか弱く、肩を震わせながら歩くその姿に、守ってあげたいと本能が叫んでいた。
そのまま彼女を抱きしめたくなる感情を堪えるのが精一杯だった。
声をかけられず彼女が駅に着くのを遠くから見送ることしか出来なかった。
ホテルでの会議が終わり、ひと段落したところで俺は彼女からもらったお菓子を鞄から取り出した。よく見ると綺麗なオレンジと茶色の金平糖。
子供の頃以来食べた記憶がないが、彼女に惹かれ俺はパッケージを開け一粒口にした。
俺の思っていた金平糖とは違い濃厚なみかんの香りが鼻から抜ける。疲れた体に程よい甘みが体に染み渡る。
もう一袋の方も開けてみると食べる前から苦味のきいた挽きたてコーヒーの香りがしていた。
興味をそそられ、コーヒー味も口にしてみるがこちらも鼻から香りが抜ける。甘いはずの金平糖からほろ苦さや鼻から抜けるコーヒーの香りに不思議な感覚に陥らせる。
「副社長がお菓子だなんて珍しいですね」
秘書がコーヒーを運んできた。
彼女にも味見してもらうが、今まで食べてきた金平糖と全然違うと驚いていた。そのくらいこの味や食感は特別だった。
これを営業しにきていた彼女にますます興味が湧いた。
ネットで調べてもなかなか検索できず、俺はパッケージの裏に書いてある販売店へと仕事帰りに向かった。
あの時の彼女が販売員として店頭に立っていることに驚いた。営業しにきたと言っていたはずなのに、と思うがネットにも載せていないような小さなお店。手分けして仕事をこなしているのだろう。
小綺麗にしている店舗を見るがなんとなく殺風景な感じが否めない。
客足はあるがみんな固定客なのか彼女と雑談しているようだ。年配の方と話すその姿に彼女の優しさが滲み出ているようだった。
少ないながらもなかなか客足は途切れず俺は入るタイミングを失ったしまった。
けれど彼女の働く姿を見ることが出来、温かい気持ちになれた。
その後もお店へと足を運ぶが、なかなか中に入れない。彼女の働く姿を眺めては帰ってくる日が続いた。
何回行ったことだろう。
ただ、彼女の働く姿を見て癒されていたがさすがに自分でもストーカーみたいだな、と笑えてきた。
客の切れたところでお店に入ると彼女とは別の女性が声をかけてきた。
けれど彼女は俺に気がついてくれ声をかけてくれた。
覚えてくれていたのかと嬉しくなり、話が弾んだ。