あの日の返事をもう一度。
 はあ…無様だな、俺は。

 いまだに謝れないくせに、嫉妬心だけは一丁前にあって。

 こんなのと、麻央が付き合わなくてよかったな。

 そう思うと、左胸あたりに針で刺されたような痛みが走った。

 斗真みたいな、明るいやつが麻央には似合ってる。

 そう思うと、心臓が圧迫されるような感覚を覚えた。

 その感覚たちには気づかないふりをして、ひたすらに教室までの廊下を歩いた。
< 28 / 51 >

この作品をシェア

pagetop