あの日の返事をもう一度。
 何度も願ったあの日のやり直し。

 「一語一句違わずに、言って?」

 耳元でそう囁けば、麻央は顔を真っ赤にする。

 「ぅ…はー…ちゃん…好き…」

 小さく、でもしっかりと『好き』と伝えてくれた麻央。

 今度は、間違わない。

 麻央の目をしっかりと見て、言葉を紡ぐ。

 「俺も。麻央が、好き。」

 あの日言えなかった言葉を、今やっと、言うことができた。
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