こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
タッタと小走りで給食室に帰る。
恥ずかしい。
小春はケイのお世話係になったような気でいたのだ。
考えてみたら週の半分しかお店を出していないので、小春がいないときにケイがどうしているのかは知らないのに。
ふと、あることを思い出した。
『うちらの学年はみんな仲がいいんだよね。特に琥珀っちとサラとケイくんの三人は、小さな頃からずっと一緒だし』
アクセサリー作家のユミの言葉だ。
その時は、ふーんと思ったくらいだったが、休日にわざわざお弁当を届けにくるほど仲がよかったとは…
〝サラさんがお店を出している日は、給食室で食べている〟
そのことにも小春は深く傷ついた。
小春がお店を出している日に、ケイが給食室で食べることはない。
いつもテイクアウトだ。しかも来ない日も多い。
でも、食べたければ行って食べるに決まってる。
小春の料理はそこまでして食べたいとは思わないということだ。
当たり前のことに気づいて傷つくなんて。
なんて滑稽なんだろう。
小春はこみ上げてくる涙と闘いながら、急いで給食室に戻った。