こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~

包丁でトントンと野菜を切り、鍋でコトコト煮込む。
厨房は美味しそうな匂いが充満し、小春は少し落ち着いてきた。

これからは一層料理に励もう。
ちゃんと自分のお店が持てるように。
そのためにヴィレッジで頑張っているのだから。

小春は鍋の蓋を取って味見をすると、ウンと頷き、最後にもう一度大きく混ぜてから火を止めた。

ガラッと給食室のドアが開く。

「まだいたのか」
「源ちゃん!びっくりしたー」

突然源基が現れたので、小春は跳び上がった。

「灯りが見えたから、電気をつけっぱなしなのかと思ったんじゃないか」

そう言えば前も同じことを言われたな…
思い返しそうになる気持ちを頑張って引き止めた。

「試作してたの。よかったら持って帰る?」
「おっ!ラッキー」
「白菜のクリーム煮だよ」

テイクアウト用の容器にたっぷりと盛り付ける。
「源ちゃんいつもお腹空かしてるから、たくさん入れとくね」

持ち帰り用の紙袋に入れて、厨房から出る。

「はい」と源基に手渡し、「食べた感想、また聞かせてね」と笑いかけた。

黙って紙袋を受け取った源基は、真剣な顔で小春を見ていた。

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