こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
「小春ちゃんはびっくりするぐらい変わらないねぇ」
園長先生は、ホッホッと笑いながらコーヒーを淹れてくれた。
グレーの髪にグレーの口髭。小春の記憶の中の園長先生そのままだ。
園長先生は一体何歳なのか。二十年も経つのに昔のままっていうのが謎だ。
小春は困惑しながら園長先生を見ていたが、いや待てよと今の先生のセリフに気を留める。
『園児の頃から変わらない』というのは、誉め言葉なのだろうか。
うーむと微妙に思いながらも、曖昧に笑っておく。
「園長先生もびっくりするぐらい変わってません」
「嬉しいことを言ってくれるね!」
小春とは違い、園長先生は喜んだ。
園長先生くらいの歳になると、それは誉め言葉で間違いないようだ。
「今は村長だから、園長先生じゃなくて村長さんと呼んでおくれ」
園長先生改め村長さんは、今の立場がたいそうお気に入りのようだ。
話を聞くと、毎日給食室カフェでバリスタをしているらしい。
元々コーヒー好きなので、自分がコーヒーを淹れたいために給食室カフェを作ったとか。
『こばとヴィレッジ』は園長先生、いや、村長さんの夢も応援する場所なのだ。