こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~

「隅田春乃(すみだはるの)と二人で始めたいと思っています。春乃はデザートが得意なので、食事の他にもケーキを出そうかと」

隅田春乃も『こばと幼稚園』の卒園児だ。

専門学校で再会し、それからずっと仲よくしている。春乃はホテルの厨房で働いているが、『こばとヴィレッジ』の話をしたら、一緒にやりたいと言ってくれたのだ。

「隅田春乃ってわかりますか?」

村長さんに聞くと、「春乃ちゃんか!小春と春乃の『春春コンビ』で仲良しだったね」と言うのでびっくりする。何千人と卒園児はいるだろうに、村長さんの記憶力はすごい。

「食後のコーヒーは私に任せておくれ」
「もちろんです」

村長さんの生きがいを奪うもんか。
それに、淹れてくれたコーヒーはびっくりするぐらい美味しかった。

詳しいことはこれから追々と、ということになったが出店は決まった。
やったーっと走り回りたいところだが、グッと我慢する。
部屋に貼ってあるポスターの〝こばと〟が、『がんばれよ』というようにキリッとした眼で小春を見ていた。

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