優しい嘘

朝、俺より先に咲久が目覚めていた。俺も眠りが浅かったけれど、やはり眠れなかったようだった。

「おはよう」
「おはよう」
「眠れなかった?」
「うん」

目が真っ赤になっていた。夜の間に泣いたのかもしれない。

「怖いけど」
「うん」
「私には光輝がいるから大丈夫」

そう言って笑ってくれる咲久はこんなときも頑張ってしまう性格で。だからこそ、自分を偽ることを選んだのだろうけれど。

「うん。俺がいるよ」

血の繋がらない兄として、それから恋人として。
この先結婚したりすることだって、きっとある。
頼りないかもしれないけど、俺は咲久をしっかり支えて、守って生きていきたいと思ってる。

「光輝は優しいもんね」
「咲久だけにね」

君が吐いた優しい嘘の結末。
それは未来の俺たちが知ってるはずだ。
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