十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
理玖が見せてきたのは、ダイヤモンドのページ。
その中でも、理玖が指差したのは、ブルーダイヤモンド。
それも、ブルーはブルーでも、スカイブルー。
サムシングフォーの1つ、サムシングブルーとして、このダイヤを入れた指輪を結婚指輪用に選ぶ人もいると聞く。
希少価値がとても高い石。
そして宝石言葉は…………自由。

「それは……ダメだよ……」

とても、ピンキーリングに使っていい代物ではないと、思った。
むしろこれは……。

「ねえ、理玖」
「ん?」
「結婚指輪じゃ、ないんだよ。私が頼んだの」
「……ああ」

だから何?

そう言いたげな彼のトーンに、私は動揺した。

「だ、だから……その……」
「ん?」

大人になって、より深くなった石膏像のような顔が、私を見据えている。
違う宝石にしなくてはいけないはずなのに。
中野さんとの結婚指輪でさえ、普通のダイヤモンドだったのに。
その横に、スカイブルーダイヤモンドのピンキーリングなんか身につけてしまったら……。

「理玖は……私をどうしたいの?」

さっきから、理玖は私の指を離してくれない。
優しく、でも力強く掴んだままだった。

「美空こそ、どうしたいんだよ」
「え?」
「他の男と結婚を決めたくせに、どうして俺の指輪が欲しいんだよ」

わざとなのだろうか。
俺の指輪という言葉を使ったのは。
吐きそうなほどに胸が苦しい。
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