十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
「なあ……」
「なに……」
別れの儀式が終わり、明かりの下で微睡んでいる時に理玖が話しかけてきた。
「ピンキーリングのデザイン……どんなものにする?」
「…………理玖が決めて良いよ」
「ダメだ。お前が考えろ」
「どうして」
「お前のために作るのは、これが最後だからだ」
ああ、そうか。
理玖は私を抱いたことで、決心してしまったんだ。
それを望んでいたはずなのに、いざ言葉にされると、やはり剣で抉られたように胸が痛くなる。
「そっか、最後か」
「そうだろ。お前、結婚するんだから」
「そう……だね……」
分かっている。
自分で選んだ道だ。
中野さんと結婚をする事で、私たちはたくさんの人を幸せにできる。
そのための、約束の結婚。
後戻りするということは、中野さんを裏切るということ。
私と中野さんは、恋人ではなく、共犯者。
「婚約者を私から裏切ることはできない」
私は、自分に言い聞かせるように言った。
「なに……」
別れの儀式が終わり、明かりの下で微睡んでいる時に理玖が話しかけてきた。
「ピンキーリングのデザイン……どんなものにする?」
「…………理玖が決めて良いよ」
「ダメだ。お前が考えろ」
「どうして」
「お前のために作るのは、これが最後だからだ」
ああ、そうか。
理玖は私を抱いたことで、決心してしまったんだ。
それを望んでいたはずなのに、いざ言葉にされると、やはり剣で抉られたように胸が痛くなる。
「そっか、最後か」
「そうだろ。お前、結婚するんだから」
「そう……だね……」
分かっている。
自分で選んだ道だ。
中野さんと結婚をする事で、私たちはたくさんの人を幸せにできる。
そのための、約束の結婚。
後戻りするということは、中野さんを裏切るということ。
私と中野さんは、恋人ではなく、共犯者。
「婚約者を私から裏切ることはできない」
私は、自分に言い聞かせるように言った。