十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
「流石に自信がない」

私はそう言うと、理玖はニヤッと何かを企んでる笑みを浮かべた。
嫌な予感がする……と思った時、耳たぶをカプっと噛まれながら

「美空の初めてを、ずっと身につけていたいから」

こんな甘い言葉と

「でも美空が指輪選びを男としたのは、最初は俺じゃないから」

と……こちらは完全に私が悪いのだが……拗ねたような言葉を同時に投げられてしまった。

「ご、ごめんなさい」

私が謝ると

「だから、美空。頑張ろうね」

そう言いながら、理玖は刻印のための道具を私の手に握らせた。
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