十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
「もうすぐ予定日だけど……本当に大丈夫か?」
「うん、今日もいつも通りだったよ」
「そっか」

理玖はそう言いながら、私を抱き寄せて額にキスを落とす。

「お前は、勝手に自己完結するのが得意だからな」
「もう……まだそのこと根に持ってるの?」

理玖は、10年以上前の事を時々ちくりと刺すように言ってくる。

「違うよ」
「じゃあ、何?」

私が、口を尖らせて聞くと

「怒るなよ」

と言いながら私の頭を撫でてくる。

「もう、1人で悩むなよってことだよ」
「ふふ。頼りにしてます」

私は、理玖の唇に軽いキスを落とす。
そっと唇を離しながら理玖の目を見ると、もっと欲しいと訴えているのがわかった。
しょうがないな……と思いながら、今度は少し口を開けて理玖の唇に再びキスを落とす。
理玖の唇もすぐに開き、唇を絡ませ合うキスを長い時間、じっくりと交わした。

「んんっ……」
「美空……愛してるよ……」

呼吸のために唇をそっと離すたびに、理玖は私にそうささやく。

「私も、愛してる……」

そうして、何回か愛を囁き合っていると、急にお腹の辺りに違和感を覚えた。
何かが、いつもとおかしい。
そう思ったその時。

「あっ……!?」
「どうした!美空!?」

話には聞いていた。
それでも、やっぱりその時が来てしまうと、どうしても戸惑ってしまった。

「破水したかも……」
「え!?」
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