俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~


「でも!春多くんの子供は?遺伝子が欲しいって子供が欲しいって事じゃないんですか?」

「……私は大学卒業したらアメリカに行って薬学の研究に没頭したいの。でも、祖父が納得してくれなくて。優秀な遺伝子…春くんと婚約しておけば後10年は自由になれるのよ」

「……?」

「丁度良かったのよ。春くん、私のこと嫌いってるでしょ?家庭にも興味ないと思ってたし。彼が拒否してくれれば時間が稼げたの!それが、もう結婚する気なんて信じられない」


愛奈さんが息をつく間も無く喋り続けていく。



「一応、種貰っとけば祖父も納得して、そのうち死去したら捨てちゃえばいーかなぁって思ったんだけど、くれないんでしょぉ?」

「……あ、あげませんけど。え?でも、使う気無かったんですか?」


バスから降りてからも愛奈さんは、私の隣を歩いてついて来る。



「どうして、妊娠育児に費やしてスキルを落とさなきゃならないの?グローバル化する社会の中で日本は遅れ過ぎなの!」

「そんな事、私に言われても」

「あーあ。早く、人工子宮の研究が成功して日本にも広まればいいのにー…」







「おいっ!お前、珠里さん連れ回してどうするつもりだよ?」


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