俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



「うるせーなぁ。そんな事、どうだっていーだろ?お前はおとなしく自分の家、帰れ!」

「ふん、こっちだってあんたなんか用無しだわ!」

春多くんが愛奈さんを追い払うようにシッシッと手を振ると、愛奈さんもベーッと舌を出して春多くんを威嚇するような表情を見せて──、



「珠里さんは良い子だから幸せになってね!」


ふふっと優雅な笑顔で私の頭に抱きついてきた。







「あー疲れた。やっと消えたな。俺等も帰ろーぜ」


もー帰るわ!と言った愛奈さんの乗るタクシーを見送ってから、春多くんが大きな安堵の息を吐く。



「でも、愛奈さんって言葉は酷かったけど、根は悪い人では無かったね」

「あぁ?マジでそう思ってんの?」


春多くんが目を丸くして驚く。
でも、第一印象や考え方が少しだけ春多くんに似てたし。なんて、言ったら怒られそうだから言わないけど。



「まぁ、ちょっとだけ」

「あんたさぁ、世の中舐めすぎ。変なのに騙されねーか心配なんだけど」

「そんなことないよ」

「いーや。自分がサインする書類も見ねーじゃん。つーか契約関係は俺がやるから、印鑑は絶対押さなくていいよ」


春多くんが物凄い真剣な顔で私の両肩を掴んでくるから。ちょっとムカついて頬を膨らませると、プッの馬鹿にするように笑われた。

家族になる相手をバカにするのもどうかと思うん……て、春多くんのお母さんって何処にいるんだろう──?



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