俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
理想の家族計画
「もう、スマホにも何度も連絡したのよ!」
「うわ……、本当だ。ごめん、病院に行っててミュートのままだった」
鞄からスマホを取り出すと、母親からのメッセと着信が入っていた。
それにしても、こんな道端で会うなんて偶然あるの?
「おばあちゃんが、あなたのとこの病院に入院になったのよ」
「えっ、おばあちゃんが!?」
「検査入院で大したことないと思うんだけど。ついでだから、あなたの顔見に行こうとしたのにもう仕事上がったって言うから、寮に行ったのよ?」
しまった、寮を出たことさえ話してなかったんだ。
「そしたら、今は寮を出てあそこの25階建ての高層マンションに住んでるって教えて貰ったんだけど……」
母親が"何かの冗談よねー"と大笑いしながら、現在 私達が住んでいるマンションを指差した。
これはどこから説明するべき?
「それで、この男の子はもしかして珠里の彼氏?紹介しなさいよー」
"うふふー"とやけにテンションの高い母親が、私の事を肘でつついて春多くんに視線を向ける。
そうだ、春多くんを紹介しなくちゃ!
隣に顔を向けると、にっこりと微笑む春多くんが私の肩をグイッと引き寄せて口を開いた。
「ご挨拶が遅れてすみません。はじめまして、河本春多といいます。珠里さんのお腹の子の父親で、結婚を前提にお付き合いさせて頂いてます」