俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「ちょっと、離れてよ!」
「ん?どうした?珠里さん真っ赤だけど熱あるの?」
余計近付いてくるから慌てて引き離すけど、この子の人の前での距離感おかしいんだった。まさか、親の前でこんな近くなるとは思わなかったけど。
「この間も、病棟で倒れたんだし(貧血で)、もう1人の身体じゃないんだから大切にしないと」
「う、うん。そうだね!」
「薬も言わないと飲み忘れるし」
「う、うん。それは気を付けるけど……」
「俺、珠里さんが心配でどうにかなっちゃいそうだよ」
顎をクイッと上に上げられるから、キスされるんじゃないかって思った。息がかかる位に近いから春多くんを直視出来なくて、パッと顔をそらす。
「ねぇ、恥ずかしいから……やめて」
「どうして?毎日こうやってお腹撫でてるじゃん。俺達の大事な赤ちゃんをさ」
と、今度は私のお腹に服越しでキスをしてくるけど。
そのすぐ隣から、お母さんとお父さんの視線が痛いくらいに突き刺さる。
(ただイチャついてるようにしか見えない)
「あの、君は僕等がいること、忘れてないかい?」
気まずそうに、私の父親が口を挟むと、春多くんの表情がスッと真面目に切り替わった。
「お義父さん、お義母さん。改めてご挨拶させて頂きます。大事なお嬢さんを妊娠させてしまって申し訳ありませんでした」
なんなの!このイチャイチャスイッチと外面についてけないんだけど!