俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「僕、珠里さんが働いてる大学病院付属の医学部6年生なんです」
「おい、お前まだ学生なのか?」
「あらー、何歳になるの?て、医学部って大変じゃないの?」
「いえ、そんな事ないです。病棟実習で珠里さんをはじめて見た時から、凄く可愛いなって思ってて、僕から話しかけたんです。学生だし、年下だから最初は全然相手にされなかったんですけど」
どこかで聞いた事のある話に、一瞬耳を疑った。
これ、真木ちゃんに説明した時と同じ設定じゃん。
「まだ親のお金で生活してるようなものだし。このマンションだって……。まだ学生ですが、本当に珠里さんのこと心から愛してるんです」
使いまわしにムーッと不満を隠せないけど。
でも、この誠実そうな声のトーンは嫌いじゃないから困る。むしろいつもより低くて好きだし。
「お義父さん達には、心配かけてしまうかもしれません。でも、国家試験も合格して、ちゃんと医者として働いて、大好きな珠里さんとお腹の子を絶対に幸せにします」
「えー、いいじゃない!珠里、妊娠おめでとう!お父さん、お医者さんの卵がうちの子を貰ってくれるんだから!」
「いや、駄目だ。すぐに挨拶も来ないような男。しかもまだ自立もしていないだと?君の親はどうなんだ?どうせロクでもない大人なんだろう」
「僕は不貞行為の結果、産まれた子供です」