俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「え……?」
「母は僕を一生懸命育ててくれました。いつも笑顔で応援してくれました。珠里さん、ごめんね、それが今は紹介は出来ない理由」
言いにくそうに顔を歪ませてポンと頭に手を乗せてくるから、春多くんの痛みが伝わってきて私まで悲しくなってくる。
「だから……本音で言い合える、珠里さんのお義父さんとお義母さん夫婦がとても羨ましいです。親に心配して貰えるって、凄く感謝しなきゃいけない事ですよね」
***
──春多くんといったかね。今度、うちに遊びに来なさい
「案外、あっさり認めてくれたなー」
後ろから抱き締められて、首元にチュッとキスを落とされる。
お父さん達は優しい笑顔でマンションを後にしたけど、この納得のいかなさは何でだろう?
「珠里さんの父親、絶対騙されやすいよな。マジで誰かさんにそっくり。あー、心配だなぁ」
顔なんか見なくても、春多くんが片方の口角を上げて笑っているのが分かる。
「あんたが調子良いのは母親似だね」
酷いっ。私、ちょっと泣きそうになったのに。
「春多くんに、騙された」
「騙してねーよ。大体事実だし」
「むー、嘘つき!」
「ふはっ、珠里さんはどこが嘘だと思う?」
「全部……」
「あぁ?」
「私が決めていーなら、お母さんが入院してるのも、私の事を愛してるっていうのも、子供と3人で幸せになるっていうのも、全部……全部、本当だと思うっ!!」