俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



上半身を反転して勢いよく振りかえって、もう1度大きな声を出す。



「本当だと思うし、本当にするし!!」


すぐ前には、目をパチパチとさせ驚く姿の春多くんがいた──。



「俺さぁ、あんたのそういうところ結構好きだよ?」


フッと目を細めて優しい笑顔を見せて、少し乱暴に頭を撫でられるから、胸がギュッとなる。


男の人にしては細くて白い首筋に手を伸ばして、絡めて、自分から距離を縮めた。

春多くんの柔らかい唇にキスを落として、そのままパクリと含んだ。下唇を吸い上げると、至近距離で目と目が合う。



「珠里さんからしてくれんの、はじめてじゃん」

「だって、春多くんと(すっご)くキスしたかったんだもん」

「うわ、それ誘ってんの?」

「さ、誘ってるって言ったらどうする?」


春多くんの膝の上に股がったままもう一度キスを落とすと、春多くんの大きな溜め息が顔にかかる。



「だからさー、安定期入ってからって言ったじゃん……」

「えっと……するんじゃなくて、その…ちょっとだけイチャイチャしたいだけだし」

「…………」

「ちょっとだけでいいから、ね?」


シュンと首を傾げれば、春多くんが悩ましげな息を吐いてから言い辛そうに口を開いた。




「…………んん、じゃぁ、ちょっとだけ俺のことも慰めて」

「うん、いいよ……」





< 113 / 164 >

この作品をシェア

pagetop