俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
まるで夢のような現実が嬉し過ぎて、幸せ過ぎて、頭が全然追い付かなくて。口が開いたままポカンとなった。
「俺といると、色々面倒事がついてくるかもしれないんだけど」
春多くんがケースから指輪を取り出して、私の左手の薬指にそっとはめた。
「その、ずっと一緒にいて…、くれますか?」
リボン型の小さな宝石がたくさん詰め込まれた、凄く可愛いデザインでの指輪で。凄くキラキラしている。
春多くん、どんな顔して選んだんだろう?
「……おい、返事は?何か言ってよ。照れ臭いんだけど」
「だ、だって…………う、ぅぅぇっ」
ボロボロと熱い涙を頬を伝って零れ落ちていく。ただ、頷くだけで精一杯で。涙で滲んだ目に頬が赤い春多くんが映るから、もうこの涙を止める事なんて出来ない。
「うっ、うぇぇぇ……ご、ごぢら"ごぞ…」
ズズッと鼻を啜りながらの返事は格好悪いけど、「泣きすぎ」と私にハンカチを当てる春多くんが笑うから私も泣きながら笑ってしまった。
ヤケになってお酒を飲んで道端で踏んづけちゃった男の子を拾った。
再会は最悪な状況だったけど、いつも私の事を助けてくれた。
───面倒くせーなぁ。もう、俺の子でいいよ
───ま、待ってよ!子供だよ??
意地悪な時もあったけど、最終的には、いつも私の味方になってくれた。
「なぁ、上の階のホテル、部屋取ったから行きますか?」
「………い"、行ぐ…」