俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「忘れてください。帰ってください。さようなら」
「遅くなったのは悪かったけど、お互いのことこれからいっぱい知りましょうって時に帰る必要ねーじゃん」
「知る必要なんてありません。さようなら」
「なんでだよ?ヤり逃げじゃねーんだぞ?感じ悪りーな」
「ごめんなさい。彼氏がいるので帰ってください。さようなら」
「あぁ?彼氏?彼氏いるのに何で家に上げたんだよ?」
怪訝そうに眉を潜める男の子が、「ワンナイのつもりなら、普通 自分の部屋入れねーだろ?」と言葉を続けていく。
正常な思考ならそうなんだろうけど、あの時はアルコール入ってたし。
「あなたに関係ないでしょう?」
男の子をギッと睨み付けたところで、ピコンとスマホの音が辺りに響いた。
この時間のメッセージは俊也さんからの確率が高い。ポケットのスマホを見ると画面にはとんでもないメッセージが表示されていた。
────────────────
(俊也さん)
アパートの前まで来てるんだけど、今すぐ珠里に会いたい。
────────────────
「えぇっ!?今すぐ?……あの、こ、これから人が来るから、お願いだから帰って……」
「なんだよ、いきなり引っ張んなって……」
扉の前から離そうと、慌てて男の子の腕を引いたところで。
「珠里?何してるんだ……?」