俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「えー、起きちゃったの?」
「おかえり、パパー!!」
「ただいま、透多」
せっかく寝かしつけたのに。でも、春多くんと透多の嬉しそうな顔見ると怒れないなー。
「で、結果は?」
透多を高く抱っこしながら、ちらりと私に視線を向けるから。エプロンのポケットにしまっておいた、妊娠検査薬を取り出して見せた。
「えへ、実は陽性だった!」
「マジかっ!?」
「うん、今度一緒にクリニック行こ?」
「行く!今度の土曜なら休み!」
春多くんが子供のようにはしゃぐから、私まで嬉しくなる。
「なんのお話してるのー?」
私と春多くんの会話を聞いてた透多が、不思議そうに首を傾げた。
「透多ー、ママに赤ちゃん出来たんだよ」
「えっ、ママに赤ちゃんー?」
「ちょっと、病院にも行ってないのに話すの早いよ……」
「とーたんちに赤ちゃんくるの??」
透多がわくわくと目をキラキラさせるから、この子の眠気は本気で吹き飛んじゃったんだろうな。
「とーたんとパパとママと赤ちゃんで暮らすの楽しみねー」
でも、この小さな手が私の手と春多くんの手を取って、幸せそうな笑顔を見せるから。まだ膨らんでいないお腹にそっと手を触れた。
「透多、お前お兄ちゃんになるんだぞ?ママに甘えてばかりじゃいられないからな」
「やだっ、とーたんのママだもん!」
「おい、抱っこはひかえろよ」
「えー。とーたん、弟がいい!子分にするんだ!」
「ふはっ、子分って。まだ性別は分からねーんだよ」
「ええーー、ぜったい弟だよー」
「だーかーらー、まだ分からないって.…」
家の中がもっと賑やかになるのかな?
家族が増えるかもしれないって不思議な気分がうずうずしてきた。
全然、想像できないんだけど。でも、この幸せがずっと続きますように──。
───── 俺の子でいいよ。─────