俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
──もう大人なのだから子供のように感情的になるんじゃない。論理的に物事を考えるように。冷静に受け止めなさい──
そんな事、わざわざ言われなくても分かってたよ。
柔らかい唇を乱暴に塞いだ。
声をかけられた場所からそんなに離れていないアパートの一室。電気もつけずベッドまで辿り着くこともなくこの名前も知らない女と抱き合った。
「……もっとギュッてして」
「お姉さん、いつもこんな事してんの?」
「だ、だって……」
「だって?」
「…寂しいんだもん……」
背中に手を回されるから、肌と肌がより密着する。汗とアルコールと、この女の甘い香り。
それらが混じり合って、より欲情を駆り立てられる。
こんな状況でも感じてるのかよ。俺もだけど。
半分呆れて、乾いた笑いが出た。
すぐ折れそうな程に細い手首を固い床に押し付けて、何度も自分の欲求のままをぶちまけた。
怒りも悲しみも、寂しさも全部、感情のありのままに──。