俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
父はじめての顔合わせ
「えぇっ、珠里ちゃんが結婚!?まぁまぁ、子供まで?」
病院のベッドの上。妻の報告に、珠里の祖母でもある俺の母親がふふっと嬉そうに微笑んだ。
「そうなんですよ!お義母さん!」
「全く、彼氏も家に連れて来たことなかったのに本当に急な話だよな」
「でも、おめでたいじゃないの!」
健康診断で行われた血液検査で数値が怪しいものがあり、先日 母は大学病院に検査入院となった。
「こんな大きな病院で個室にまで入れてくれて。鴨田さんのおばあちゃんなんだって、みーんな親切にしてくれるのよ。きっと珠里ちゃん、職場でもいい子なのねぇ」
いくら大部屋が空いていなかったとしても、病室にソファやクッション、家族が泊まれるような簡易ベッド、バス・トイレまでついた特別室みたいな部屋だった。
たかが、検査入院のお年寄りが泊まれるような場所ではないのは気のせいか……。
今まで他の病院にお世話になった事はあったが、ここまで待遇が違うものなのだろうか。
トントン。ノック音の後、スライド式の扉が開いた。
「うわっ、何この部屋」
「珠里さん、開けるの早過ぎ」
部屋に入ってきたのは娘の珠里と、交際相手の春多くんだ。