俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
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「鴨田さん、退院おめでとうございます」
「まぁ、ありがとう」
検査結果は良好で無事に退院できる事になった。これまで通り、血圧を下げる薬と骨粗鬆症の薬を飲み続けるだけ。
病室では、お世話にった看護師さん、介護士さん数人に囲まれて花束まで渡されるのだけど。何かがおかしい。
普通、こんな事までしないだろう。
「じゃぁ、母さん。俺は受付で会計をしてくる……」
妻と母親より一足先に病室を出ようとすると、スッとスライド式の扉が開かれた。
「退院おめでとうございます。院長の河本です」
スラリと背の高い男前の医者が現れた。といっても、俺より一回りは年上だろう。
──て、河本??
「あら、院長先生。色々とありがとうございました」
「ははは、またいつでも来てくださいね」
「なによそれ、また入院しろってことかしら?」
母が嬉しそうに"ふふふっ"頬を染めて微笑むから、少しモヤっとした。
この医者、確か最初に検査結果の説明をしてくれた人だったような。
その医者がくるりとこちらに体を向けて、目を細めて口元を緩めた。
涼し気で人の良さそうな雰囲気を醸し出すこの笑い方。俺は確かにどこかで見たことがあった。
「いつも春多がお世話になってます。今後ともお付き合いよろしくお願いしますね」
「…………!??」
おい、珠里!俺は何も聞いてないぞ!!
───父、はじめての顔合わせ───