俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
久し振りに聞いた春多くんの誠実そうな声のトーンに、少しだけドキドキしてしまう。
と同時に、スマホを耳に当てる反対の手で私の頬をくるくると撫でて、プニュッと軽くつねる仕草をとってくるから。
完全に遊ばれてるのが分かって、どっちに反応していいか分からなくなる!
「院内では父の実子ではなく、孫という事になってまして……。はい、いえ、そんな……こちらの配慮が足りず申し訳ありませんでした」
勝手に私のスマホを取ったのに、ピッと通話を切ってから返される。
「春多くんは悪くないだって。不束でデキの悪い娘をよろしく頼む、だって」
春多くんがニヤーと意地悪な顔を見せるから、絶対同情させたんだ!
この男、私のお父さんの反応も楽しんでるんだ!!
「春多くん、ズルいっ!そうやって、うちのお父さんが春多くんを責めにくい言い方して…」
「何で?向こうが勝手にそう受け取っただけじゃん。俺、事実しか言ってないし?」
「そういうのをズルいっていうんだよ!」
「まーた、2人して大学で何してんの?」
春多くんと言い争っていれば、後ろから聞き覚えのある声が耳に入った。