俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
春多くんなんか、家の中でも外でもキスしてくるのにお父さんの前では嫌なんだ。
私だって人前でキスするのは嫌だけど、結婚式の誓いのキスは別なイメージがあるのは何でだろう。神聖なものだから?
「そっか。じゃぁ、しょうがないね」
少しシュンとしていると、春多くんがちょいちょいと手招きしてきた。
膝の上にちょこんと座ると、後ろからギュッと抱き締められて、首筋にチュッとキスを落とされる。
これは春多くんのおかえりの挨拶。唇にも甘いキスが何度も落とされて、大きな息をゆっくりと吐いて一端離れされた。
「あー、でも珠里さんのドレス姿は見たいなー…(小声」
「え、何て?」
「いや、写真だけでも撮ろっか?」
「写真?……んんっ」
もう一度、軽く口付けられて額をコツンと付けた春多くんが口元を優しく緩める。
「フォトウェディングだったかな。和泉のお姉さんが式やらないで写真だけ撮ったって聞いた」
「和泉くんお姉さんいるの?」
「5つ上だったかな。去年、結婚したらしい……て、なんだよ和泉に興味あんの?」
「いや、無い!全然ないよ!!」
春多くんの声のトーンが下がってギッと睨まれるから。慌てて両手を左右に振ったのに、まだジトーと目を向けてくる。
また和泉くんが攻撃されたら、可哀想だもんね。