俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



「……は?」

「避妊しなかったかも」

「……え?」

「気持ち良すぎて……。んー、面倒くせーなぁ。もう、俺の子でいいよ」

「ま、待ってよ!子供だよ??」

「俺さー。丁度、彼女が欲しかったんだよね。今のうち作っておかなきゃマズかったのに、忙しくて作れなくてさ」


彼女が欲しいと、子供が欲しいじゃ全然ちがうじゃない!?
それに、忙しいからじゃなくて、性格悪いから彼女が出来ないんじゃないの?

あまりにも平然と言ってのけるから、私の方が間違ってるんじゃないかって頭がクラクラきてきた。



「ほ、本当に父親かも分からないのに、そんなテキトーでいいの?」

「あんたは、下ろしてーの?」


男の子が私のお腹に視線を落とすから、複雑な心境のまま小さく首を振る。


じわりと、また目に涙が溜まっていく。

まだ、全然 実感はない。母性なんて分からないけど、下ろしたくはない。お腹に両手を当てて唇をギュッと閉じた。




< 19 / 164 >

この作品をシェア

pagetop