俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「じゃぁ、ぴったりじゃん。大丈夫、もう俺の子にしよ。俺の子産んで」
「……はぁ?む、無理でしょう?だって、知らないもん。あんたなんか、1回 関係持っただけだし。な、なんにも知らないし」
「うん、今から知ればいーじゃん」
軽い、軽すぎる。こんなんで、親になっちゃっていいの?
私の心配とは裏腹に男の子はペラペラと言葉を続けていく。
「俺、河本春多23歳。まだ医学部6年だけど。大学病院の院長……河本宗一郎の孫」
「は?」
「あんたは?」
「……え、と。鴨田珠里。28歳。仕事は……」
「介護士だろ?見たことある。香川の野郎、実習の時、グループ指導担当だったのに本当人の顔全然覚えねーよな」
「…………」
「じゃー、成立ってことで!」
溢れる涙も引っ込んだ。大学、医学生??
院長の孫??
河本春多と名乗った男の子が、にっこりと私の手をとった。