俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
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「ねぇ、鴨ちゃん!今日、ご飯食べ行こうね!!」
「う、うん……?」
勤務が終わって、真木ちゃんが目をギラギラさせて両手を掴んできた。
あの子も朝出るとき、遅くなるって言ってたし。一応、連絡しておけばいいよね。
「どうした?飲まないのー?」
真木ちゃんと来たのは、仕事帰りに女の子グループでも利用しやすくて、値段もお手頃な半個室の和風居酒屋だ。
いつもなら、ビールで乾杯といくところだけど。
「うん、えっと……今日はビールじゃなくて、オレンジの気分かな…」
メニュー表を手に歯切れの悪い返事をすれば、向かいに座る真木ちゃんギッと目を向けられる。
「ねぇ、もしかしてだよ!鴨ちゃん、赤ちゃんデキた?」
「えぇっ?な、何が!?ど、どうして……」
「だって、仕事中もずーーーっとお腹気にしてたし。守ってたし。物も分けて運ぶし。みんながタバコ吸ってる休憩室も避けてたし。それに、居酒屋でお酒も飲まないって、もしかしなくても妊娠でしょう?」
確かに、それじゃぁバレても仕方がない。
自分でも気付かないうちに、お腹を意識して仕事をしていたんだ。