俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「じ、実は……、職場にはまだ報告してないんだけど」
「やっぱり!相手は誰なの?ちゃんと言ったの?」
「あ、うん。一応、伝えたよ」
流石に相手が2人いてどっちの子か分からないなんて、口が裂けても言えない。
真木ちゃんが眉を下げて心配してくれているのが伝わってくるから尚更だ。
これ以上、心配かけないようにしなきゃ。
「一応って何?え、で、産むの?」
「う、産むよ」
「てことは、結婚するの?」
「うーん。まだ、籍は入れてないんだけど、多分」
「それって大丈夫なの?」
ビールを片手に持つ真木ちゃんが、不安そうに顔を歪めるから、"しまった"と慌てて次の言葉を追加した。
「実はもう一緒に住んでるんだ。だから安心して」
「えっ、1人暮しじゃなくて同棲だったの?」
真木ちゃん、ごめん。住み始めたのは昨日からなんだよ。でも、一緒に住んでるのは嘘ではないからいいよね。
「彼まだ若くて、少し頼りないところはあるんだけど、俺の子を産んでって言ってくれてるし!それに────、」
「えええーーーっ、あの25階建て高層マンションに住んでるの?マジで??すっごーーーい!いいなぁ!高収入?玉の輿じゃん!羨まし過ぎるんだけど!!」