俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「アイツの孫だって言ったけど、一応表面上そうなってるけど……本当は、半分血が繋がってる実子なんだよ」
「……うぅっ、?」
「小さな頃からずっと見てたんだ。あの男に振り回される母親を……」
「……ねぇ、苦しい…」
背中に回される手にギュッと力が入るから。胸に押し込められるから、この子がどんな表情をしているのか分からない。
「だからっ、あの時、あんたのお腹の子供を"愛人の子"にはさせたくなかった」
だけど、切羽詰まった声が息苦しさを伝えてくるから、私まで心が痛くなる。
腕の力が緩んで、やっとこの子の顔が見えた。
「……は、春多くんの気持ちは分かった」
母親と私を重ねたのだろうか。
苦しくて、今にも泣きそうで、どこを見ているか分からない男の子に胸がぐっと締め付けられる。
「その最低男のお金を搾り取りたいのね?」
「おい、そういう事じゃ……」
「うん、このカードは遠慮なく使ってあげる。使おうよ!春多くんにはいっぱい使う権利あるんでしょ?」
「ふはっ、あんた調子良すぎ。んな顔で鼻水啜りながら言う言葉じゃねーよ」
その大きな手が私の頭をぽんぽんと、優しく何度も叩く。
こいつ口は悪いけど、可愛い顔して笑うんじゃん。