俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



"しまった!!"と思った時はすでに遅かった。「中も綺麗じゃん!わー、広ーい!」なんてズカズカと入り込んでくる彼女を止める事は出来なかったし、春多くんも呆気にとられている。




「聞いてたけど、めちゃくちゃ若いし、可愛格好いいじゃん。鴨ちゃんマジやるねぇ」


肘でつついてわざわざ耳元で話してくるけど、完全にあの子に聞こえてるから。




「これ良かったらー、はい。皆で食べよーと思って」


なんて、真木ちゃんがコンビニで買ってきたであろうスイーツを春多くんに差し出した。

真木ちゃんはこういう遠慮ない性格で、寮で一緒の時もいつもこんな感じだったけど。
"うちに入れんなよ"ってさっき言われたばかりなのに、怖くて隣の男の子の顔が見られない。



「春多く……、ごめ……怒らない」
「いつも、珠里さんと仲良くしてくれてありがとうございます」


震える声で謝ろうとしたその時──、ふわりと肩を抱き寄せられた。



「ちょっ……!?春多くん、離れてよ」

「何で?」


顔が近付いてくるから、キスされると思って慌てて引き離す。

優しくて爽やかな笑顔。何これ、誰かの前でイチャつく現象は家の中でもスイッチ入るの?それとも、嫌がらせ??


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