俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「な、ん、で、言ってるそばから他人を家に上げんだよ」
真木ちゃんが帰った後、春多くんに怒られたのは言うまでもなくて。
「だ、だって真木ちゃんぐいぐい入ってくるんだもん!」
「本当に図々しくて驚いたよ」
確かに、ちゃっかり夕飯のカレーまで食べていったけどさ。この子が真木ちゃんに愛想よく振り撒いたのも原因だと思う。
「真木ちゃんは、正直でオープンな性格なの!」
「だから、あんな遠慮なくおかわりまでしてったわけ?」
「そ、……そんな怒るなら春多くんが玄関で止めれば良かったじゃん!!」
「あぁ?そもそも、あんたスマホ忘れて気付かないって時点で抜け過ぎだろ?しかも、パスワードメモってるとかさー」
はぁ、と大袈裟にため息をついて「あり得ねー」と春多くんがブツブツ言っているけど。
さっきまでその膝の間に座って、仲良くデザートを食べさせ合っていたのは夢だったのだろうか。
「数字忘れて入れなくなったら嫌だし」
「あんたバカ?たった8桁の数字だろ。記憶に残らない意味が分からねぇよ」
「ぐっ……」
くやしいけど、確かに私が悪いのだろうから、これ以上は言い返せない。