俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「春多くん、ごめんね?」
「別にもういいよ。もちろん、次はないけど。あー、気ぃ使って疲れた」
疲れるなら、あんな上辺だけのイチャイチャな態度とらなきゃいいのに。
背もたれに寄りかかって大きく体を伸ばす春多くんを見て心底思うけど。
なんだかんだ仲良し夫婦を演じてくれて、真木ちゃんを安心させてくれたんだよね。と、無理やり気持ちを納得させる。
「でもあんな作り話、よくすらすら出てくるよね。全部、嘘だらけなのに」
「本当のことも入ってるよ」
「医大の6年生とかー、国試受かって医者になるってところでしょ?」
「それもだけど、実習であんたのこと可愛いって思ったのは本当だよ」
向かいに座る春多くんの手が伸びて、私の頬に触れた。そのまま、グイッと顔を上に持ち上げられる。
「真木さんだっけ?あの人のことは知らないけど、あんたの顔は覚えてた」
「ふ、ふーん」
フッと目を細める男の子が優しく見えるから、おかしいな、心臓がいつもより早く動き出す。
「あの日、可愛いお姉さんに拾われて気分が上がってたって言ったじゃん。誰でもいーわけじゃねーって」
「で、でも。どーせ、私のこと……愛してるのは嘘でしょ?」