俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
非嫡出子の事情
「ねぇ、春多くん。今、ドア開いたよね?誰か来たんじゃ…んッ」
首元に熱い息がかかる。春多くんの体が密着して、その重みと心臓の音が凄く近く感じる。
「ちょっと、待っ……て、」
耳朶に舌が這われて、そのまま首筋、鎖骨に滑り落ちていく。思い切り吸いついてから、私の胸元にグリグリと顔を押し付けくるけど。
家の中をドタドタと歩く足音を無視する事なんて出来ない。
「ねぇ、やめ……」
「珠里さんが、していいよって言ったんじゃん。俺のこと思い出したいって」
言ったけど、言ったけど、今は違うでしょ?
いつの間にかケーシーを脱ぎ捨てていた春多くんが、自身のシャツの裾を捲りあげようとした時──。
「おい、春多!いるのか?お前もう帰っているのか!?」
部屋のドアが勢いよく開いて、図太い声をした男の人の怒鳴り声が響いた。
遠慮なく部屋に入って、私達の寝転がるベッドのすぐ横で仁王立ちをする男の人は、きっと春多くんの父親。
見た事あるもん。喋った事はないけど、遠くから見た事がある。この人、うちの大学病院の院長だ……。
「見て分かりませんかー?今、彼女と取り込み中なんですけど」
にっこり外面の春多くんは私の上に跨がったま離れようともしないから、体勢をどうにかしたいのに身動きが取れない。