俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「ねぇ、お父さん怒ってたよね……。子供の事も全然納得してなかったし」
春多くんのお父さんはオペが入っているからと病院へ戻ったけど。
もし、私について調べられたら、病院の医者と不倫関係にあったことが簡単にバレてしまうかもしれない。
遺伝子がどうとか言ってたし、もし春多くんの子供じゃなかったら──。なんて、不安もあるけど。
「平気だよ。あー見えてアイツ、女と俺には甘いから」
「でも、マンション追い出されちゃったり、学費払って貰えなかったりしたら、私のせいで春多くんが困るのが1番やだ…」
「俺が大学卒業するまでの養育費。契約してちゃんと公正証書もあるから。それに、今、親権アイツだし」
「……え?」
「つーか、鍵持ってるのは知ってたけど、アイツがマンション来たの、久し振り過ぎてびっくりした。うん、時々呼び出される事はあったけど……」
力の抜けたように、春多くんがぼんやりと窓の外に顔を向けた。
「俺さ、子供の頃から凄く勉強してたんだ。親に立派な医者になるんだって、言い聞かされて育てられた」
春多くんがポツリポツリと言葉を落としていく。
でも、心はここに有らず。まるで、そんな感じ。