俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「私への同情と、お父さんに対する抵抗でしょ?親に人生全部決められたら嫌だもんね。だから、別れられない理由のある私が都合良かったんだよね?」
和泉くんと話をしてからずっと考えてた。この子にとって私といるメリットを。
小さく笑って見せれば、目の前のこの子が眉を下げて顔を歪めた。
春多くんが私の事を好きじゃなくても、例え、利用されただけだとしても、この子には沢山支えられ助けて貰った。
「あー……、ごめん。最初はそれもあったけど。今は違う。今は、あんたにかなり惹かれてるよ」
「え?」
「香川に酷いこと言われてるあんたの事、守ってやらなきゃって思った。でも、泣き虫だけど、あんたそんな弱くてさ」
「……」
「それに、香川の話が出たりすると、すっげームカついたし」
はじめて見る子供みたいにムスッとする表情の春多くんが、不貞腐れるように口を尖らせて言葉を続けていく。
「あんたが泣いてると何とかしてやりたくて、あんたが楽しそうだと嬉しくて、あんたにはずっと笑っていて欲しいって……そう思うのは、あんたの事好きなんじゃねーの?」