俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



ちょっと息が上がる春多くんが、服の上から胸元に唇を当てて、そのままお腹にチュッと口付ける。

少しだけ膨らんできたお腹を優しくて撫でて、ふわりと頬をつけてくるから急に不安が押し寄せてきた。



「この子、無事に産まれてきてくれるかな?」

「んー?」


ミチさんの事を考えると、ズキンと心が痛くなる。望んだわけじゃないのに授かった事を後ろめたく感じてしまう。

私の気持ちに気が付いた春多くんが、よしよしと頭を撫でて口を開いた。



「どんなに気を付けてても、絶対はないから。彼女の子の事はあんたのせいじゃないよ」

「……こ、子供ができるって、凄いことなんだね」

「まぁ、凄いよな。男は己の欲のまま腰振って射精するだけだけど、女は体の中で新しい命を育てるわけだもんな。マジで奇跡だよ」



私、そんなに性欲強くないと思ってたけど。
なにこれ、身体がウズウズして落ち着かないよ。

春多くんに(すっご)く触りたいし、もっともっと触って欲しい。
したいけど、でも妊娠初期はしちゃダメみたいだし。

それに──、大切にしなきゃ。と、自分のお腹にそっと手を触れた。





「ねぇ、今日はギュッとして一緒に寝たい!」

「あぁ?それ、拷問なんですけど?」

「だって春多くん。私の事、大好きなんでしょ?」

「うわ、その自信どっからくるんだよ?」


春多くんと、ずっと、この奇跡の命を守っていきたい。そう願った日なのでした。



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