俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「わー、またあの2人イチャついてる」
「大学の前でよくやるよねー。恥ずかしくないのかな」
「もはや名物夫婦」
「河本の奴、卒業試験中なのに余裕だよなー」
あぁ、周りから何かが聞こえてくる……。
公衆の面前でキスなんて、恥ずかしくて穴に入りたい!
「やめてよ!」
「ふはっ、あんただって俺の事、好きなんだろ?」
春多くんが口角を片方だけ上げて、凄く意地悪な笑顔を見せるから。
はぁ?この男、変わりすぎ!!と、プルプルと怒りで体が震えるけど、頬が赤く熱が上がっていくのを隠せない。
***
「鴨ちゃん見たよ!まーた、イチャイチャしてたよね?」
「……うぅ。恥ずかしいよ」
「いーじゃん、世の中の妊婦はイチャイチャの結果だし。大人になるとさ愛情表現が淡白になっちゃったりするじゃん?愛されてるって感じで羨ましいよ」
「そ、そうかなっ?えへへ」
真木ちゃんが目をキラキラとさせて両手を合わせるから、悪い気もしないでもない。
実際に前に比べて私と春多くんの距離は縮まった。
大切にしてくれてるのも伝わってくるし、前より春多くんの目が優しくなったのが分かる。