俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



「あ、春多くんおかえりー」

「5時過ぎなのにまだ()っちー、ただいま…………ぐっ、!?」


夕方になって、春多くんが大学から帰ってきたのだけど。お姉さんの愛奈さんの顔を見るなり、春多くんの顔が一気に青くなる。



「どうしたの?お姉さん来てるよー」

「あんた!!何でコイツを、家の中に入れたんだよ!?」

「え、だって春多くんのお姉さんなんでしょ?下のエントランスで会ってさ、夏休みなんだって…」


春多くんが慌てたように私の体を抱き寄せて、「あんた何もされてないよな?」とペタペタと顔からお腹と手で触れていく。
こんな真っ青な春多くん、はじめて見るんだけど……。家族でも勝手に上げちゃまずかったの?



「春くん、久しぶりー。お姉ちゃん、色々聞いちゃった!まさか女の子と同棲してるなんて驚いちゃった!もう、どうして教えてくれなかったのよ?」


リビングの椅子に優雅に座る愛奈さんが、手をヒラヒラとさせて春多くんに笑顔を向ける。



「珠里さん、俺に姉なんていないから」

「は……?」

「うふふー、珠里ちゃんったら簡単に信じちゃったわよ?本当にバカがつくほど単純で可愛いわぁ。こういう子って、もっと可愛がってあげたくなるわよね!」


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