俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



「そうよー!!」
「違うっ!」


ご機嫌の愛奈さんと、ピリピリしてる春多くんの声が部屋に響き渡る。



「前に和泉くんが(すっご)い綺麗な婚約者がいるって言ってたから、愛奈さんの事なのかなって」

「あらー、珠里ちゃんってなんて良い子なの!?」


愛奈さんが立ち上がり私に抱きついてくるから、春多くんが慌てて引き離そうとする。



「おい、触るなよ」

「別にいーじゃない?珠里ちゃんも可愛いわよ!よしよし」

「お前のが珠里さんより年下なんだぞ。子供扱いしてんじゃねーよ」

「でもねー、珠里ちゃんごめんね?春くんと別れてくれないかしら?」

「いや、もう俺の子妊娠してるんだよ!それに、俺 卒業したら珠里さんと結婚するし」




「えっ!?結婚……?春多くん、私と籍入れてくれるの?」


春多くんから"結婚"の単語が出てくるなんて、嬉しくて驚きを隠せない。
婚約者(愛奈さん)もいるのに、カーッと頬に熱が上がってくのが自分でも分かる。



「あぁ?なんだよ、俺じゃ嫌なのかよ?」

「いや、そういうわけじゃなくて…」

「俺はあんたと夫婦になりたい」

「だって、まだ籍は入れられないって、そんな、卒業したら結婚ってはじめて聞いたから……えっと…」

「俺が相手じゃやだ?」

「ううん、春多くんがいい!!」


春多くんの両手が私を優しく包み込むから、私も春多くんの背中に手を回した。





「えー、2人結婚しちゃうの?じゃぁさ、間を取って春多くんの遺伝子を貰えるかしら?」


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