俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~



え、イデンシテイキョウ──?


言葉の理解に時間がかかったのは、さっき2人が言い合いしていた"妊婦は処理能力が落ちる"とかの問題なのだろうか。

聞き慣れないけどなんとなく知ってる言葉に頭がフリーズする。



「ちょーっと、種をくれればいいわ。そうしたら春くんの遺伝子は貰えるものね!」

「あぁ、それでいいの?」

「1回の量にもよるけど。一般的に2回……いえ、3回分は欲しいわね」


意味が分からない提案に、春多くんも平然と乗ろうとするから……、



「だ、駄目です!春多くんの種は私のです!誰にもあげません!!」


一気に血の気が引いた。



「えー、遺伝子の提供なんて今時たいした事ないでしょう?裸で抱き合うわけじゃないんだし。キスもしないで済むのよ?冷凍しといて時期になったらちゃちゃっとスポイトで人工受精させればすむんだから」(※そんな簡単じゃありません)


愛奈さんの言葉に頭がくらくらする。
え、何これ。私の感覚がズレてるのかな?




「で、でも!春多くんのが他の女の人の中に入るのは……なんかやだ!嫌です!!もう、帰って下さいっ!春多くんはあげません!!」


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