明日のキミは。

 部屋に入りリビングまで行くと、テーブルの上とキッチンのシンクにコーヒーカップだけがいくつか残っているのが見える。
 私はつい、眉を寄せ、

「先生。ご飯、食べてます?」
「食べてる」
「研究室でカップ麺とかじゃないですよね」
「今日までに済ませておきたいことが多かったからな」

 それは肯定の言葉で、私は、口をとがらせる。なのに先生は素知らぬ顔だ。

 先生はしっかりしているくせに、自分の食事だけは放っておいたら本当に無頓着だ。これまで病気をせずに元気にいてくれたのが不思議なくらい。
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