月下双酌 ─花見帰りに月の精と運命の出会いをしてしまいました─
 上半身は襦袢と着物だけで、ブラジャーは着けていない。今様の下着は着物と形が合わないので、と女官さんたちに止められたんだ。さすがに下のショーツはなんとか死守し、レースでやたらに布面積の少ないものが支給されたけれど、ブラジャーは取られてしまった。だから、布二枚に包まれただけの乳房は、自分の変化を正直に現していた。

 よく考えればかなり無防備な格好なのに、初めて着る衣装なのでそこまで気が回らなかった。今更ながらの恥ずかしさになにも言えずにいる私に微笑みかけると、暗月はそっと帯を解きにかかる。着物を床に落とされ、上下の襦袢だけになると、暗月は乳首をカリカリと爪で掻き出した。

「やっ、あ……っん」

 布一枚越しの刺激に、思わず腰が動いてしまう。一瞬だけ暗月が私の胸から手を離し、腰に手を回して位置を調整すると、お互いの股間と股間が合わさった。

「あ……」

 暗月の欲望が、私の溝にぴたりと嵌る。その心地良さに思わず息を吐き出すと、また乳首への刺激が始まった。
 最早、声を止めることが出来ず、私は嬌声を上げ続ける。暗月が与えてくれる上半身の快楽と、自ら擦り付け求める下半身の快楽。夢中になっていると、暗月が衣越しに私の乳首を咥えた。

「それ、あ、駄目……」

 おかしくなる。目尻に涙が溜まる。おかしくなって、それしか考えられなくなる。
 軽く歯を立てられ、食まれ、扱かれて引っ張られる。それにいちいち反応するたび腰が動き、硬さを増す暗月の肉棒に自分の一番敏感な部分であるクリトリスをぐりぐりと押し付けて、さらなる欲望を引き出してしまう。

 暗月が口を離した時には、嬲られた側の布だけがぐっしょりと濡れ、乳首が透けて見えた。空気に晒されて少しひんやりとする。それを軽く爪で弾くと、次に暗月はもう片方を咥えだした。そして両手が背後から回り込み、巻きスカート状の着物をかき分け、尻を揉む。暗月の手がいやらしい。
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