月下双酌 ─花見帰りに月の精と運命の出会いをしてしまいました─
ツマミ1 :卯月ー駄菓子
朔視点。
二回目の公園飲みでのこと。
*********
暗月と不思議な出会いをしてから一ヶ月後。四月のある日、私は携帯アプリの月齢カレンダーをチェックすると、会社を出た。向かう先は自宅近所の公園。おっとその前に、コンビニにも寄らなくては。
あれは夢だったのか、幻だったのか。思い出せば思い出すほど、現実味を失ってふわっとした記憶になってしまう。とりあえずコンビニでビール二本とツマミになりそうな駄菓子を買って、公園に来てはみたのだけれど……。
「暗月、いるー?」
キョロキョロと辺りを見渡し、こっそりと伺うように呼びかけてみる。お目当の野良猫がいるか、探しに来たようなノリだ。
「居るぞ」
「ひゃ!」
いきなり背後から声がしたのでびくりとする。小さく叫んで振り向いたら、暗月が立っていた。いつの間に?
「幽霊か、私は?」
今まさに思ったことを言われてしまい、ついへらっと笑ってしまった。
「カテゴリー的には同じではないかと」
とっさに言い返すと、暗月の眉がちょっと寄った。
「私は、ここにいる」
「うん、そうだね」
なんだか機嫌が悪そうだ。どうしたんだろうとは思うけれど、まだ会って二回目の人の思考が読めるほど、私は聡い人間ではない。まあいいかと、エコバッグからビールを取り出して掲げて見せる。
「飲もうよ」
暗月は私を真っ直ぐ見て何回か目を瞬かせると、気の抜けた表情で小さく笑った。
「そうだな」
ちょっとは機嫌良くなったかな?
ベンチに座ると、ビールを渡す。暗月はビールのプルトップを開けると口をつけ、そのままグイッと行きそうになったので慌てて止めた。
「待った! 乾杯してからだよ」
「乾杯?」
「これしないと始められないでしょ」
ビールの缶と缶をペコンとぶつける。
二回目の公園飲みでのこと。
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暗月と不思議な出会いをしてから一ヶ月後。四月のある日、私は携帯アプリの月齢カレンダーをチェックすると、会社を出た。向かう先は自宅近所の公園。おっとその前に、コンビニにも寄らなくては。
あれは夢だったのか、幻だったのか。思い出せば思い出すほど、現実味を失ってふわっとした記憶になってしまう。とりあえずコンビニでビール二本とツマミになりそうな駄菓子を買って、公園に来てはみたのだけれど……。
「暗月、いるー?」
キョロキョロと辺りを見渡し、こっそりと伺うように呼びかけてみる。お目当の野良猫がいるか、探しに来たようなノリだ。
「居るぞ」
「ひゃ!」
いきなり背後から声がしたのでびくりとする。小さく叫んで振り向いたら、暗月が立っていた。いつの間に?
「幽霊か、私は?」
今まさに思ったことを言われてしまい、ついへらっと笑ってしまった。
「カテゴリー的には同じではないかと」
とっさに言い返すと、暗月の眉がちょっと寄った。
「私は、ここにいる」
「うん、そうだね」
なんだか機嫌が悪そうだ。どうしたんだろうとは思うけれど、まだ会って二回目の人の思考が読めるほど、私は聡い人間ではない。まあいいかと、エコバッグからビールを取り出して掲げて見せる。
「飲もうよ」
暗月は私を真っ直ぐ見て何回か目を瞬かせると、気の抜けた表情で小さく笑った。
「そうだな」
ちょっとは機嫌良くなったかな?
ベンチに座ると、ビールを渡す。暗月はビールのプルトップを開けると口をつけ、そのままグイッと行きそうになったので慌てて止めた。
「待った! 乾杯してからだよ」
「乾杯?」
「これしないと始められないでしょ」
ビールの缶と缶をペコンとぶつける。