月下双酌 ─花見帰りに月の精と運命の出会いをしてしまいました─
ツマミ2. 水無月ー魚肉ソーセージ
朔視点。
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月一の公園飲みを始めて、四回目。六月のこと──。
暗月が現れると私はエコバッグをガサガサさせて、とある商品を掴んで見せた。
「さて暗月さん、本日のツマミです。じゃーん」
暗月の眉が寄って、真面目に観察をする。
「これは、……チーカマ?」
「ぶっぶー。違います。ギョニソです」
「ぎょに、そ?」
外人さんが初めて日本語教わるみたいな表情で、暗月が繰り返す。ぱっと見、美人過ぎて冷たい雰囲気の月の精だけれども、このあどけない表情で一気に柔らかくなった。毎度思うのだけれど、こんな変化を間近で見れるなんて、眼福だ。
「魚肉ソーセージ、通称ギョニソ。ツマミの中の大定番。チーカマと並ぶ二大巨頭ですね」
「ほう」
「ちなみにチーカマも通称です。正式にはチーズかまぼこ。どっちも魚肉の練り物だから、カテゴリーは同じか」
解説しながら彼にギョニソを手渡す。初回のチーカマで慣れたのか、特に説明することもなく、暗月はギョニソのフィルムを剥がし、一口齧った。そこですかさず缶ビールを手渡す。
「はい、乾杯」
「乾杯」
乾杯前にツマミいっちゃったけど、まあいいや。暗月はビールをぐびぐびっと飲むと、私を見てニコッと微笑んだ。
「美味いな」
「でしょ?」
うなずきながら美人の笑顔にくらくらして、そっと視線を外して夜空を見上げる。梅雨の中休み。今までは急に冷えることもあったけれど、これからは気温もどんどん上がって蒸し暑さが増して行くだろう。でも今日は雨も降らず、風も爽やかで過ごしやすい。そして手には缶ビールとギョニソ。隣には月の精。
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月一の公園飲みを始めて、四回目。六月のこと──。
暗月が現れると私はエコバッグをガサガサさせて、とある商品を掴んで見せた。
「さて暗月さん、本日のツマミです。じゃーん」
暗月の眉が寄って、真面目に観察をする。
「これは、……チーカマ?」
「ぶっぶー。違います。ギョニソです」
「ぎょに、そ?」
外人さんが初めて日本語教わるみたいな表情で、暗月が繰り返す。ぱっと見、美人過ぎて冷たい雰囲気の月の精だけれども、このあどけない表情で一気に柔らかくなった。毎度思うのだけれど、こんな変化を間近で見れるなんて、眼福だ。
「魚肉ソーセージ、通称ギョニソ。ツマミの中の大定番。チーカマと並ぶ二大巨頭ですね」
「ほう」
「ちなみにチーカマも通称です。正式にはチーズかまぼこ。どっちも魚肉の練り物だから、カテゴリーは同じか」
解説しながら彼にギョニソを手渡す。初回のチーカマで慣れたのか、特に説明することもなく、暗月はギョニソのフィルムを剥がし、一口齧った。そこですかさず缶ビールを手渡す。
「はい、乾杯」
「乾杯」
乾杯前にツマミいっちゃったけど、まあいいや。暗月はビールをぐびぐびっと飲むと、私を見てニコッと微笑んだ。
「美味いな」
「でしょ?」
うなずきながら美人の笑顔にくらくらして、そっと視線を外して夜空を見上げる。梅雨の中休み。今までは急に冷えることもあったけれど、これからは気温もどんどん上がって蒸し暑さが増して行くだろう。でも今日は雨も降らず、風も爽やかで過ごしやすい。そして手には缶ビールとギョニソ。隣には月の精。