最後に恋した一か月
「お願い」
うるうるキラキラの瞳で、じっと見つめられてしまって。
「うー、負けた! いいよ」
「ほんと~! やった!」
あたしと試合して勝てたことないのに。
彼のこういうとこに弱いせいか、つい甘やかしてしまった。
「じゃさ」
「ん?」
「今日、先輩と一緒帰っていい?」
「いーけど、方向どっち?」
「えへへ、先輩と同じほうだから。途中まででいいから、ね」
そんなこんなで、ルンルンと浅田があたしの手を引っ張る。
「あ! こらっ」
「いーじゃん、いーじゃん。帰ろ?」
そして、あたしはまた、彼を甘やかしてしまうのだった。