最後に恋した一か月
「先輩に憧れていたのはありました。そして、いまでも憧れています」

「へ?」

「最後の最後に進化しちゃうの、ずるいですよ。ずっと先輩は慎重なプレーするんだって思ってたのに、ものすごく派手なプレースタイルに変わっちゃって……」


 浅田はあたしの前にひざまついた。


「そーゆーとこも、好きです」

「へ、へぇ、そ、そっか」

「だけど」


 浅田の手からラケットが離れる。

 地面に置かれたラケット。

 そして、あたしに伸ばされた浅田の手。

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